



福井県の南西部に位置する若狭。今年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の舞台となったこともあり、全国から多くの観光客が訪れている。さわやかな秋晴れの1日、高島市から国道303号を通って小浜市へと向かった。
まず名水百選に選定されている若狭町の「瓜割(うりわり)の滝」に向かう。年間を通じて約12度の水がわき、冬は温かく夏は「瓜が割れる」ほど冷たいことから名付けられたという。駐車場から水のせせらぎを聞きながら300メートルほど歩くと、澄んだ水が豊富に流れる滝に到着=写真(1)。心も体もリフレッシュされ、これからの旅に胸が弾んだ。
小浜市に入り、明通寺を訪ねる。大同元年(806年)に坂上田村麻呂が創建。鎌倉時代に建てられた入母屋造り桧皮葺きの本堂と三重塔=写真(2)=はいずれも国宝で、静かなたたずまいだ。重要文化財の彫刻4体を有する同寺。本堂には降三世(ごうざんぜ)明王や深沙(じんじゃ)大将など珍しい木造の立像が並ぶ。
海の幸を味わおうと港に向かった。海や山の幸に恵まれ「御食国(みけつくに)」として古来、朝廷に食材を納めてきた若狭。小浜漁港近くの「お食事処 濱の四季」で御食国御膳(1480円)=写真(3)
=をいただく。地元で取れた旬の魚や野菜をふんだんに使い、素材の味を生かした豪華な御膳だ。 満腹になると、目の前に広がる海に出たくなり、蘇洞門(そとも)めぐり遊覧船の乗り場に向かった。小浜湾の東側に約6キロにわたって奇岩や洞門が続く若狭湾国定公園の景勝地、蘇洞門を海の上から眺める約50分のコース=写真(4)。網をかけたように亀裂が入った「あみかけ岩」や亀の形をした「夫婦亀岩」など、波が造り出した景色を楽しむ。海の状態がよければ岩に大小二つの穴が開いた「大門・小門」の近くの桟橋に船を着け、近くから見ることができるそうだが、この日は波が高く、船の上での見学となった。
最後に訪ねたのは同市が全国に誇る工芸品、塗り箸(はし)の研ぎ出し体験ができる「箸のふるさと館WAKASA」。貝殻の上に何色もの塗料を塗り重ねた箸を研磨機で少しずつ削って模様を出していく=写真(5)。好みの模様を作りながら、1本に埋め込まれた6枚の貝を研ぎ出し、約20分で「My箸」が完成=写真(6)。1日で自然、歴史、伝統に触れることが出来、満たされた思いで帰路に着いた。 小浜駅へは湖西線近江今津駅からJRバスで1時間または敦賀駅から小浜線で1時間。明通寺は拝観料400円。箸研ぎ体験は大人300円。予約不要。蘇洞門めぐり遊覧船は大人2000円。運行状況の問い合わせは若狭フィッシャーマンズ・ワーフ(0770・52・3111)へ。