

湖東三山の中でも、聖徳太子による開山として最古の歴史を誇る釈迦山百済寺。1000坊を抱える大寺院に成長し「地上の天国」とたたえられたが、1573年、信長による焼き討ちにあった。江戸時代初期に復興し、今日に至っている。このほど、山内の一部が国の史跡に決まった。その栄枯盛衰を刻む「天下遠望の名園」喜見院庭園を訪ねた。
仁王門近くにあった本坊と庭園を昭和初期に現在の場所に移築・拡大した池泉回遊式・観賞式庭園=写真(1)。湖東平野の山々を形成し彦根城の石垣にも使われた湖東流紋岩の巨石が豊富に使用されている。同寺境内で発見された庭園遺跡のありし日の姿を写しているという。
庭園を歩くと、涼しげな音をたてるやり水のせせらぎ、カエルの鳴き声、コイがはねる音などが静けさのなかで印象的に響いた。滝に沿って小道を登ると、繁栄時の石垣跡が見られる。信長による焼き討ちで、大きな石だけ安土城建設のために持ち去られたといい、ところどころ石が抜かれている。その様子が、天正年間の寄進とされる「石曳の図絵馬」(非公開)=写真(2)から推測できる。
壮大な景色を誇る遠望台にたどり着く。左右対称の美しい姿を見せる比叡山が正面に、その手前に太郎坊、観音寺城跡、安土城跡を一望に見ることができる=写真(3)。「遠い昔、百済からの渡来人が海の向こうの母国をしのび、信長が天下統一のビジョンを考えた地」。濱中亮明住職の言葉を思い出しながら眺めると、歴史の一舞台に立っているような感慨がわいてくる。
近江鉄道八日市駅からバス30分、百済寺本坊前下車すぐ。午前8時〜午後5時。拝観料大人500円など。問い合わせは(0749・46・1036)へ。