

丸いびんの中にびんの大きさとそう変わらない手まりが入った「びん細工手まり」。旧愛知川町(愛荘町)に古くから伝わる伝承工芸品だ。はっきりとした由来や伝承経路は不明とされている。びん細工手まりの謎を解明しようと、町立愛知川びんてまりの館を訪れた。
町立愛知川図書館と併設して2000年に建てられた同館に入ると、色とりどりの美しいびん細工手まりが並んでいる=写真(1)。幻想的な世界にすっかり心を奪われてしまった。旧愛知川町に残る最古のびん細工手まりは1840年ごろのもので、当時は一部の人に細々と受け継がれていた。
びん細工手まりを伝承する青木ひろさんが1973年に他界した後、その技術を絶やしてはならないと19人で保存会を結成。現在約200人が所属している。「びん細工手まりの愛知川」の誕生だ。
保存会のメンバーに手まりを作る工程を見せてもらった=写真(2)。愛知川びん細工手まりは周囲38センチ。下絵は描かず、頭の中で考えて刺繍(ししゅう)する。作り上げた手まりを一度つぶし、びんの中で再び仕上げる。すべて手作業で作られ、簡単なもので3日、複雑な模様になると半年近くかかるそうだ。会長の辻みよ子さん(83)は「柄も色もすべて自分で考える。いくつ作ってもいつまで作っても『これで良い』と思うことはないんです」とびん細工手まり作りの魅力を話した。
帰り道、愛知川駅前でびん細工手まりの形をした可愛らしいポストが目に入った=写真(3)。不思議で美しい工芸品を地域全体で守る姿勢が感じられた。
びんてまりの館は近江鉄道愛知川駅徒歩7分。午前10時〜午後6時。毎週月、火曜、祝日、毎月最終水曜休み。無料。問い合わせは(0749・42・4114)へ。