高島市勝野には、地名を詠み込んだ万葉の歌が6首あり、すべての歌碑が立つ。京阪神の人たちにも人気のある歌碑巡りのスタンプラリーに先月下旬、出かけた。
JR近江高島駅を起点に琵琶湖岸を目指すと、大溝港広場の一角に最初の歌碑があった=写真1。
大御船泊(は)ててさもらふ高島の 三尾の勝野の渚し思ほゆ(巻7)
読み人知らずの1首だ。勝野在住の万葉研究家藤井五郎さん(80)によると1985年、町の観光協会の依頼でこの歌と場所を第1号に選んだという。古代、大和から大津に着き、陸路や水路を利用して越前や若狭に向かうとちょうど勝野のあたりで夜を迎える。「このため、どの歌もどことなくもの寂しい内容となっています」と藤井さんはいう。
次に向かった乙女ケ池は、ブラックバス釣りを楽しむ人たちでにぎわっていた=写真2。
大船の香取の海に碇(いかり)おろし 如何なる人か物思はざらむ(巻11)
白ひげ浜まで足を延ばしていったん駅に戻り、今度は山路を目指す。高台にあり、すぐ分かる関西電力高島変電所の前に立つのは高市黒人の歌だった。
何処にかわれは宿らむ高島の 勝野の原にこの日暮れなば(巻3)
来た道を振り返ると琵琶湖岸の松林や対岸の伊吹山、沖島が一望だった=写真3。6首を見ると、うち3首は水路、2首が陸路、1首はどちらとも取れそうだ。歌碑の前に立つとそれぞれに当時がしのばれ、しばし物思いにふけった。
近江高島駅にある観光案内所で歌碑案内の地図がもらえる。歌はいずれも歌碑から。