忍者の里として名高い甲賀市と三重県伊賀市。両市長らによる手裏剣対決が先月末行われ、わが甲賀市は惜しくも敗北。向こう1年間伊賀市のPR活動を行うという屈辱?のおまけつきで幕を閉じた。そんな因縁の伊賀市上野を訪ねた。
JR草津線終点の柘植駅からJR関西線に。三つ目の伊賀上野駅で近鉄の忍者電車=写真1=に乗り換え7分。大津から約1時間半で上野市駅に到着した。旅を愛した松尾芭蕉の出身地としても有名で、駅を降り立つと最初に迎えてくれるのが芭蕉さんの立像だ=写真2。
駅北側の上野公園へと向かう途中、公園横にある現代陶芸伊賀焼の店「土味」(0595・23・2162)に立ち寄った。良質の土に恵まれた伊賀焼は焼成の際にできる「コゲ」や「ビードロ」と言われるその青緑色が特徴の陶器。川端康成の本「美しい日本の私」に「古伊賀(およそ十五、六世紀)は水に濡らして、はじめて目ざめるやうに、美しい生色を放ちます」とあるように、水分を帯びることで色が変化し、美しさを増すという。
その日店に出ていた須釜優子さん(30)は「土味があり、まきを使った昔ながらの方法で焼き上げるところ」と伊賀焼きの魅力を話してくれた=写真3。現代作家の作品をそろえ、器の生かし方を提案する同店の窯元で修業しながら独自の作品スタイルを目指していた。
桜と緑が美しい上野公園には、日本一の高石垣を誇る上野城や、芭蕉翁記念館などが集まり見どころが豊富。園内の「俳聖殿」は屋根は旅笠、ひさしは袈裟(けさ)、柱は足と杖、と芭蕉の旅姿を建築に表したというからおもしろい=写真4。忘れてはいけないのが世界一の忍術資料を誇るという伊賀流忍者博物館。屋敷内のどんでん返しの仕組みや武器の説明、忍者の特性…などなど。「観光で来る方の方が忍者に対する関心が強くてかえって勉強になります」と言いながら素早い身のこなしで忍者の宮本彰さん(26)が案内してくれた=写真5。
駅前に戻り、地元で評判の「すきやき 伊藤」(0595・23・4500)へ。伊賀と言えば伊賀牛。すき焼き、しゃぶしゃぶもあるが、同店の人気メニューは「牛どん」。脂身が少なくキメの細かさが特徴の高級伊賀牛をたった840円で楽しむことができた=写真6。
店を後にして、芭蕉翁生家へ。生家裏の離れ釣月軒(ちょうげつけん)で芭蕉が初めての句集「貝おほひ」を執筆したという。簡素で美しいたたずまいを守っていた。
上野の町を歩いてびっくりしたのは町の辻々からひょこひょこ現れる忍者! あとで知ったのだが、5月6日まで開催されている恒例の忍者フェスタの間、観光施設や市役所の職員さんたちはみんな忍者スタイルで働いているのだそうです。
伊賀市へはJR京都駅から近鉄電車の伊賀神戸経由のコースもある。