
彦根市南部の湖岸域にぽつんと独立した小高い山がある。古くは「倍山(ばいざん)」「平流山(へいるやま)」と呼ばれた荒神山。山頂に位置する荒神山神社に、宮司の奥山二三男さん(58)を訪ねた=写真1。
石段の参道を上がると左手に、昨年6月に市指定保存樹に選定されたご神木「ダマノキ」がある=写真2。15年ほど前、幹が腐って折れたが、そこからサクラ、タカノツメ、ケヤキなどが自然と芽吹き、1本の幹に幾種類もの木が枝を伸ばす珍しい木だ。
まるで城を思わせる石積み=写真B=に圧倒されながらも、境内へ。天平3年(731年)に行基が三宝荒神像を祀(まつ)って開山したとされる。「それ以前より、神社の原形ともいえる祓殿(はらえどの)があったと伝えられています」と奥山さん。神仏混交で天台宗の「奥山寺」だったが、信長の焼き打ちで焼失した。しかし、寺の形式を今も残しており、秀吉が寄進したとされる石灯篭(いしどうろう)=写真3=が庭園にたたずんでいる。明治の神仏分離で「荒神山神社」となった。
各家庭に「かまど」があった時代、6月29、30日の大祭「水無月(みなずき)祭」には、湖東一帯より多くの人々が参拝に訪れた。満3歳までにお神楽を奉納すると火の難を免れるとされ、台所をあずかる女の子を抱いて参る姿が多く見られたという。
同地より北へ100メートルほどの所に、県下2番目の大きさを誇る前方後円墳がある。奥山さんの「子どもの頃から古墳だと聞かされていたのですが、3年ほど前に県の調査が入って明らかになったんです」との話に、歴史の深さを感じた。
JR河瀬駅または稲枝駅から車で約15分。2本ある林道のうち、日夏町から入るルートは現在通行止め。
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