

「農業のための用水」をテーマに、農林水産省が選定する疏水(そすい)百選。県下で選定された6カ所の一つ、米原市伊吹から山東、長浜市、旧東浅井町の900ヘクタールを潤す「出雲井堰(いぜき)」を、姉川沿岸土地改良区理事長の柴田伊和夫さん(74)に案内してもらった。
出雲井堰は1300年ほど昔、出雲の国人が姉川に井堰を造り、水路を掘って潅漑(かんがい)したことから「出雲」の名が付いたとされ、今も当時のものとされる岩が残っている。1950年のジェーン台風で、出雲井堰と下流19堰すべてが押し流された。53年に災害復旧事業によって施工されたのが、現在の姿だ。水利系統は、姉川合同井堰から河川取水され、小田(やないだ)分水工、井之口円形分水工に至っている。まずは、姉川合同井堰へ=写真1。
「コンクリートに溝がありますよね。あそこに板をはめてせき止めるんです。近年は大きな増水はないですが、今も手動ですよ」と柴田さん。次に向かったのは、小田分水工=写真2。流入水を均等に分ける扇形の水利施設で、ここで三つの地域に分水されていた。
最後に訪れた井之口円形分水工=写真3=は姉川の端にあった。流量を各集落に均等に分水するために中央の円形の筒から水がわき出る仕組みになっており、とても優美な形状になっていた。「昔は水争いが起きるほど、人にとって水は大切なものなんですよね」と話す柴田さんの言葉が心に残った。
メモ:車で、米原ICから国道21号東へ約4キロ、地方道山東一色線を北約8キロ。姉川合同井堰まで約30分。