更新日:2006年10月30日
Vol.180:五村別院(虎姫町五村)
写真1 写真2 写真3 地図

波乱に満ちた教如上人の寺

 町の人から「御坊さん」と呼び親しまれている五村別院は、正式には真宗大谷派本願寺別院といい、湖北の本願寺念仏の中心的存在となっている。山門とともに国の重要文化財に指定されている本堂=写真1=を、会計の高木秀夫さん(67)に案内してもらった。
 1597年創建。400年の歴史があり、270年前に改修しているが、ケヤキの太い柱はつやつやと輝いている。本尊は阿弥陀(あみだ)如来。内陣の木組み=写真2=も見事だ。外縁に出て、虎姫で一番古いという鐘の近くまで歩くと、奥に廟(びょう)が見えた。中には、五村別院を開いた教如(きょうにょ)上人の遺骨が安置されているという。

 教如は1558年に大坂の石山本願寺で誕生した。天下統一を目指す織田信長に襲撃され、流転の末に辞世の和歌を詠むほど追いつめられる波乱に満ちた半生を送ったが、教如を慕う湖北の門徒たちが逃亡を助け、五村道場を建設。その後、家康に寄進された京都・烏丸七条の地に東本願寺を創建したことから、道場は別院となった。

 内陣にある掛け軸には、僧侶としての落ち着きと、苦難を乗り越えた力強さを兼ね備えた教如の肖像が描かれている。「武士のようなお顔でしょう。それで家康も気に入ったのかもしれませんね」と高木さん。
 現在は「五村別院の文化を守る会」が発足し、行事の伝承などに努めている。昨年は同会のはたらきかけで教如上人の銅像=写真3=が造られた。本堂を見守るようにまっすぐ立つ姿が、夕日をあびていっそうまぶしく見えた。
 
メモ:JR虎姫駅から徒歩約10分。
問い合わせは(0749・73・3133)へ。

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(滋賀)に掲載されたものの転載です。

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