UPDATE 2006年6月7日

Vol.171:金剛輪寺と愛荘町歴史文化博物館(愛荘町松尾寺)


聖観音像レプリカで里帰り

 湖東三山の一つ、金剛輪寺。741年に行基が開いたとされるこの寺院は、西明寺と百済寺の真ん中に位置している。みずみずしい新緑の間をぬけ、桃山期と江戸期の特徴が見られる庭園=写真1=や千体地蔵をながめながら、本堂に続く階段を上った。
 本堂=写真2=の諸仏のうち11体は重要文化財。本尊の聖(しょう)観音菩薩(ぼさつ)は秘仏だが、今年9月と10月に天台宗開宗1200年を記念して特別公開される。本堂は国宝建造物。副住職の濱中大樹さん(42)が「鎌倉武士が勢力をのばした頃に作られ、ケヤキの太い柱に豪壮さが表れています」と話す通り、木肌はごつごつとしていたが、堂々とした安定感があった。
 寺にはかつて、世界に誇れる仏像があった。現在アメリカのボストン美術館に収蔵されている金銅製の聖観音菩薩坐像だ。明治時代の廃仏毀釈(きしゃく)の際、日本美術品の収集家ビゲローが買い取り、海を渡ってしまったのだ。寺では里帰りを要望しているが、まだ実現していない。
 
 その代わり、ボストン美術館の好意で複製が許された。隣接の愛荘町歴史文化博物館には93年に完成したレプリカの仏像が展示されていた=写真3。
 当時、調査員として渡米した同館館長の林定信さん(49)は「非常にたくさんの幸運と努力で複製が実現しました」と話す。金箔(きんぱく)が薄くなっているところまで巧みに再現され、とても最近造られたとは思えない。整った顔立ちに、しばらく見とれてしまった。

JR稲枝駅から蚊野行きバスで金剛輪寺門前下車。名神八日市、彦根インターから車で15分。金剛輪寺(0749・37・3211)の拝観料は一般500円、博物館(0749・37・4500)の入館料は一般300円。

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている
「あいあいAI 滋賀」に掲載されたものの転載です。


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