
鳥取県との県境にある岡山県奈義町。山あいの小さな町に、大規模な空間作品を常設展示するユニークな美術館と、同町が産出量日本一を誇る1600万年前の巻き貝ビカリアの化石を展示する町立の博物館があると聞き、訪ねてみた。
中国自動車道美作インターから北へ30分ほどで奈義町現代美術館に到着。2階建ての1階が美術館で2階は町立図書館(写真1)。建築家の磯崎新さんが設計した。美術館では宮脇愛子さんら3組の美術家が、宮脇さんの夫の磯崎さんと共同制作した空間作品を常設展示している。
最初は「大地」の空間。池のある屋外から石を並べた屋内へと続く展示室に何本ものステンレスワイヤが曲線を描く。「大地」から左へ進むと「月」の展示室。部屋自体が三日月の形をしており、高さは11メートル。開放的な室内に、「休息」をテーマにデザインしたブロンズの庇(ひさし)と石のベンチが置かれている。
最後は「太陽」。らせん階段を上ると直径9メートル、高さ18メートルの円柱を倒したような形の展示室内部へ。枯山水で有名な京都の龍安寺をイメージした室内は立体的な対称をなしている(写真2)。足もとにあるベンチ、シーソー、鉄棒が天井にも設置され、平衡感覚を失いそうな不思議な空間。
現代を堪能した後は、はるか昔へタイムスリップ。車で5分の「なぎビカリアミュージアム」へ向かった。主役のビカリアのほか、シジミ、アカガイなどの貝、クジラの骨など多くの動植物の化石を保存展示している。太古の時代はこのあたり一帯が海だったことを示しており「自然科学を志す子どもたちの夢を実現する施設」として98年に開館した。屋内展示、視聴覚室、屋外展示、発掘体験エリアの4つのコーナーを設置。「屋内」にはマングローブの茂る当時を再現したジオラマ(写真3)もある。
発掘体験エリア(写真4)には、化石の混じった土を町内から定期的に運んでいる。発掘した化石は1種類につき1個持ち帰ることができる。記者も時間を忘れて、ビカリア探しに熱中した。
奈義町現代美術館(0868・36・5811)。月曜休館。小・中学生300円、高校生500円、大学・一般700円。
なぎビカリアミュージアム(0868・36・3977)。月曜休館。小・中学生150円、高校生以上300円。発掘体験は1時間200円。