

氷ノ山の北、香美町と養父市の境界にある鉢伏山。冬はスキー場としてにぎわい、春から秋にかけては色とりどりの草花が目を楽しませてくれる。10月には氷ノ山鉢伏観光協会による登山大会も開かれ、1年を通して人々に親しまれている。日中はまだ暑いが、一足早い秋の気配を求めて登ってきた。
鉢伏山(写真1)は標高1221メートル。海底の龍宮(りゅうぐう)の大黒柱があった場所が地殻変動で盛り上がり、山になったと伝えられ、神々の住む山として信仰の対象だった。実際「山すそからは海の生物の化石が発見されている」と同観光協会。昭和の中ごろからスキー場建設や登山道の整備が始まり、1963年、鉢伏山の南側にあるハチ高原にスキー場がオープン。登山道も同時期に完成した。
養父市のハチ高原交流促進センターの横から歩いて頂上を目指すのが一般的。しかし、時間が足りなかったので基幹林道瀞川・氷ノ山線の香美町と養父市の境にある駐車場まで車で行き、ここから歩いた。駐車場の標高は1050メートル。すでに頂上が見えていた。道は階段になっていて登りやすい。途中に、なだれで亡くなった遭難者の碑が立っていた。道が整っているとはいえ、山菜のシーズンや冬山などでは、毎年遭難騒ぎがあるそうだ。10分ほど歩くと、背の高い木が減ってくる。歩き出して30分弱。笹(ささ)の群落を抜けると、あっさり頂上についた。
頂上は涼しい風が吹き、汗が引いた。山の南側のハチ高原スキー場と北側のハチ北高原スキー場をつなぐリフトがあり、頂上に乗降場(写真2)がある。ススキ(写真3)が風になびいていたが、まだ穂は堅く見ごろには少し早い。氷ノ山のパノラマを見たいと待っていたが、雲が晴れることはなかった。
車に戻り、ハチ高原まで下りると、モミジが紅葉を始めていた。高原を散策すると、ススキのほかに、薄紫の花をつけるツリガネニンジンや、秋の七草のひとつのヤマハギ(写真4)、コスモスなど秋の草花が咲いていた。高原は背の高い草木は少なく、見通しがよい。同観光協会によると、種が落ちて林になると草原の管理が難しくなるため、冬にゲレンデになる場所は、刈り取ってしまうそうだ。
帰り道、養父市別宮の道路沿いに棚田が見えた。氷ノ山をバックに、写真家に人気の高いスポットだという。
■氷ノ山鉢伏観光協会(079・667・3113)。登山の時は所轄の警察に届け出る。