
JR加古川駅が高架になって3年。駅前はロータリーができ、新築中のマンションが目につくなど風景は様変わりしつつある。しかし表通りから一歩中に入ると、古い趣のある建築物がまだ多く残り、昔の面影をとどめている。その中から昭和初期に造られた加古川市立加古川図書館(写真1)と、明治の建造物で、加古川市内唯一の異人館「ニッケ社宅倶楽部」(写真2)を訪ね、レトロな雰囲気に浸ってきた。加古川観光協会が06年に作った地図「加古川ノスタルジック散歩みち」を片手に歩いた。
JR加古川駅から南へ。ベルデモールと「じけまち商店街」を通り、約10分。東行き一方通行の国道2号より南の、住宅街に加古川図書館はある。1935年に加古川町公民館として建てられた鉄筋コンクリートの2階建て。約650平方メートル。図書館になったのは1971年。ここの自慢は、正面玄関の上にあるステンドグラス(写真3)。高さ2.3メートル、幅4メートルのアーチ型。老朽化が進んでいるが、73年前の姿をそのまま残しており、愛好家の人気が高い。
ニッケ社宅倶楽部は、図書館から北西に歩いて約10分。1896年に創業した日本毛織は、1899年に加古川工場、1919年に印南工場を建てた。現在、工場として稼動しているのは印南工場のみ。加古川工場は使われておらず、建物の半分ほどは取り壊されている。その加古川工場の設計をしたイギリス人技師の宿舎として建てられた洋館がニッケ社宅倶楽部。その後、外国から招いた織物技師用として2号宿舎も建てられた。どちらも木造で、赤い屋根に白い壁の2階建て。床面積は合わせて約360平方メートル。昭和の初め頃からは新人社員や季節労働者の宿舎としても使われたという。今は2棟とも同社の社宅の集会所や子どもの習字教室に利用されている。倶楽部の西側には大きな桜の木があり、春は写生をする人が多いという。
倶楽部から北へ約500メートル。ニッケ加古川工場を囲うレンガ壁沿いの道は「レンガ塀のある小径(こみち)」(写真4)と呼ばれている。約360メートル。塀の高さは約2メートル。明治の遺物らしく堅牢(けんろう)な造りだが、あまり手入れをされた様子はない。市の要望で80メートルは残すが、残りは撤去するという。
「加古川ノスタルジック散歩みち」は、JR加古川駅構内の加古川市民ギャラリーで手に入る。