更新日:2008年3月19日
Vol.240:桃太郎の神社(岡山市)
写真2 写真3 写真4

吉備津造と400メートルの回廊

 昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました──。一度は聞いたことのある童話「桃太郎」。その主人公が祭られている神社があると聞き、岡山へ足を延ばした。
 JR岡山駅で、吉備線に乗り換え約15分。吉備津駅に到着。そこから南へ歩いて10分ほどで目指す吉備津神社だ。祭られているのは「吉備津彦命(きびつひこのみこと)」。鬼ノ城(きのじょう)に住む温羅(うら)を3人の部下と共に退治し、吉備を制圧した。この温羅退治が桃太郎の話のモデルだという。部下の犬飼健(いぬかいたける=犬)、楽々森彦(ささもりひこ=猿)、留玉臣(とめたまおみ=キジ)も祭られている。社伝によると、仁徳天皇が吉備へ来たときに吉備津彦命の話を知り、同神社を創設した。
 約6万平方メートルの境内には、本殿、拝殿(いずれも国宝)、北随神門(写真1)、南随神門(いずれも国指定重要文化財)、回廊(写真2/岡山県指定文化財)などがある。本殿と拝殿は約580年前の室町時代に建てられた。入母屋造(いりもやづくり)が2つ連なった「比翼入母屋造」は別名「吉備津造」とも言われ(写真3は模型)、全国でこの神社のみに見られる。現在約50年に1度の修繕工事のため、9月まで外観は見ることはできないが、拝殿(写真4)での参拝は可能。
地図 本殿の西隣から、南随神門を通って伸びる回廊は長さ約400メートル。境内の南端まで真っすぐ伸びている。途中西へと曲がる回廊が繋(つな)がっており、その先には「御釜殿」(国指定重要文化財)がある。釜の下に温羅の首が埋めてあり、その釜で米を炊くと温羅が釜を鳴らして吉凶を告げるという。釜鳴りの神事と呼ばれ、雨月物語にも登場する。希望すれば、この神事の体験ができる(金曜は休み。3000円)。
 同神社の裏側にある山は、吉備の中山と呼ばれる。備前、備中にまたがる標高175メートルの山で、自然歩道が整備されている。15分ほどで山頂へ着く小さな山だが、吉備津彦命の墓と伝えられる茶臼山古墳がある。宮内庁が管理しており、中へ入ることは出来ず入り口しか見えない。しかしどこか厳粛な空気の漂う場所だった。
 帰り道、きび団子を買った。犬も猿もキジも現れなかったが、気分だけ桃太郎になったような気がした。
■吉備津神社(086・287・4111)

 

   

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に
掲載されたものの転載です。

バックナンバーはこちら