漁業と海運の町として栄えた日生。ここに日本で唯一という古代中南米専門の美術館があると聞き、訪ねた。
JR日生駅から徒歩約10分。BIZEN中南米美術館(写真1)は、同町で魚網の製造・販売をしていた森下精一さん(故人)が寄贈したコレクションを展示している。商用で南米を訪れた際、古代アメリカ文化の遺物に触れ、魅力にとりつかれて収集したという。その内容は、中南米11カ国(メキシコ、グアテマラ、エルサルバドル、パナマ、ペルーなど)の土器、土偶、石器、石製装飾品、織物などの出土品や民族学資料約1700点。紀元前3500年から16世紀まで約5000年間の文物だ。
財団法人が運営する美術館(3階建て、展示面積352平方メートル)は1975年に開館。理事長と館長を孫の森下矢須之さん(51)が務めている。
現在「新大陸の仲間たち(古代中南米動物園)エピソードII」(3月9日まで)を開催中。1階のテーマは「人間」。壁面には、数万カ所の中から選んだという48カ所の遺跡を写真で紹介。年代別ではなく、感覚的に分かりやすいよう地図の北から南へ下っていく配置。
2階は種類別で「動物」を展示。展示品の1つ「へそいのしし」のペッカリー(土偶)が案内役になって、すべての展示品を解説する演出をするなど、ここでも入館者に親しんでもらう工夫がされていた。つぼ(写真2)やおろし器(写真3)、織物などに描かれたユーモラスな動物の絵や形に笑いを誘われた。
また、館長や学芸員による無料の館内ツアー(約1時間半)もあり、詳しい説明はもちろん、土笛も吹いてくれた(写真4)。また展示品に直接触れることができるなど、様々なサプライズを準備。「入館者の立場に立った好奇心をくすぐる美術館」という森下館長の考えが浸透している。
日生は今、カキのシーズン。お昼には新名物「カキオコ」(カキのお好み焼き)をいただいた。美術館の近くにある「お好み焼もりした」で半分はソース、もう半分はしょうゆで食べた。ぷりぷりの大きなカキで、心も体も温まった。
BIZEN中南米美術館(0869・72・0222)。一般500円、高大生400円、小中生250円。館内ツアー(10−20人)は日時など要相談。月曜(祝日の場合は翌日)休館▽お好み焼もりした(0869・72・1110)。