更新日:2008年1月23日
Vol.232:UCCコーヒー博物館(神戸市)
写真2 写真3 写真4 地図

「豊かな生活」テーマに

 神戸のポートアイランドに、日本で唯一というコーヒー専門の博物館「UCCコーヒー博物館」を訪ねた。メーンテーマは「コーヒーのある豊かな生活」。
 ポートライナー南公園駅の駅前にある八角形の白い建物(写真1)は、3階建て、約2000平方メートル。エスカレーターで最上階まで上がり、上から下へ第6まである展示室を見ながら下りてくる。内容は、コーヒーの起源、栽培、流通、加工、文化、情報の6つに分かれている。
 エチオピアで自生していたコーヒーが世界70余りの国々で栽培されるようになった背景には、ヨーロッパの植民地政策が深くかかわっているといわれる。「起源」では、コーヒーがイスラム圏からヨーロッパへ、アメリカへと広がっていった様子が、様々なエピソードとともに紹介されていて興味深い。
 日本へは17世紀末、オランダ人が伝えた。鎖国時代でコーヒーを味わったのはごく一部の人たち。その一人、幕臣の大田蜀山人が書いた日本初のコーヒー飲用記には「焦げくさくして味ふるに堪ず」とあった。「ミルクを飲む習慣がなく、苦いコーヒーになじめなかったのでは」と楠正暢館長(53)。
 「栽培」では、大きな地球儀が目を引いた(写真2)。赤道を挟んで南緯・北緯いずれも約25度までがコーヒー栽培の適地とされ「コーヒーベルト」と呼ばれている。花は白く、実は赤い。その収穫までの過程を説明した写真と文が壁一面にはられていた。
 「流通」では、農産物として生産されたコーヒーが厳しく鑑定される様子をレプリカや映像で紹介。「加工」では、コーヒーの生豆を炒(い)る焙煎(ばいせん)が8段階あることを知った。初期のフライパン式のものから最近の中型焙煎機(写真3)まで現物が並んでいる。
 エントランスホールには、著名人12人のコーヒー名言集がある。「コーヒーは暖かさと不思議な力と心地よき苦痛を与えてくれる。余は無感よりも苦痛を好みたい」(ナポレオン)。「コーヒー史年表」で、東京に日本初の喫茶店ができたのは1888(明治21)年で店名は「可否茶館」、インスタントコーヒーが発明されたのは1899年であることも分かった。
 締めくくりは、喫茶室「コーヒーロード」。上澄みを味わうというトルコ式のターキッシュ・コーヒー(480円=写真4)を注文した。味はほろ苦かったが、ぜいたくな時間だった。

 UCCコーヒー博物館(078・302・8880)。高校生以上210円、小中生100円。月曜(祝日の場合は翌日)休館。

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に掲載されたものの転載です。

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