火の神、台所の神として知られ、年間350万人がお参りする清荒神清澄寺(宝塚市)を訪ねた。「荒神さん」の風変わりな習慣を体験、境内にある鉄斎美術館も見学した。
清荒神の名物は、阪急宝塚線・清荒神駅から寺に続く参道の両側に軒を連ねる100軒以上の商店。飲食店、衣料品、鍋、占いなどなんでもござれの露店もズラリ(写真1)。セミの声を聞きながら、懐かしい風景にタイムスリップした気分を味わった。
約1キロの参道が終わると山門に到着。手水(ちょうず)舎で手を清め、隣の赤い欄干に沿って進むと火の神・火防(ひぶせ)の神、三宝荒神王を祀(まつ)る拝殿と護法堂が並ぶ。同寺は神仏習合式で、三宝荒神王が本尊・大日如来を守護しているという。
寺は平安時代、宇多天皇が平和社会、万民豊楽などの勅願寺の一つとして創建したと伝えられる。創建当時の諸堂伽藍(がらん)は1183年、源平合戦の兵火で焼失。源頼朝による再興から約400年後、荒木村重が織田信長に謀反を起こした伊丹の合戦で再び焼失。だが荒神王を祀る社はどちらの火災も免れ今日まで続いている(現在の建物は1981年の改築)。
その霊験あらたかな荒神王が姿を現したというのが、護法堂の背後の「荒神影向(ようごう)の榊(さかき)」。見ると、榊を保護する格子のすき間から参拝客が棒きれを使って格子内のさい銭を取っている(写真2)。同寺の執行長・有井良隨さんによると「いつのころからか、他の参拝者が残したさい銭を持ち帰ると小遣いに不自由しないと伝わっています」。筆者も硬貨を1枚いただいた。
標識の順に進み、方形(ほうぎょう)造りの屋根の上に金色の露盤が輝く本堂(93年改築/写真3)へ。大日如来に参拝した後、さらに奥へ進み鉄斎美術館(写真4)を訪ねた。
ここででは、京都出身の文人画家・富岡鉄斎の作品など約1200点の収蔵物の一部を見ることができる。第37世法主・光浄和上が39歳年長の鉄斎との交流を通じて、その宗教心のある作品に感銘し、収集。その遺志をついだ第38世法主・光聰大和上が作品を広く一般に公開展示する場として1975年に開館した。18日から10月8日まで「鉄斎の粉本─画想の源泉・模写II」が開かれ、鉄斎の作品や拓本など100点近くが展示される。
■清荒神清澄寺(0797・86・6641)
■鉄斎美術館(0797・84・9600)一般300円、大・高生200円、中・小生100円。月曜(祝日の場合は翌日)休館。