岡山県総社市で、「総社」という地名の由来となった総社宮を訪ねた。井山宝福寺、備中国分寺へも立ち寄り、吉備路の寺社めぐりを楽しんだ。
総社宮の境内に入ると、随神門から100メートル以上はあるという回廊が続く(写真1)。雨でも傘要らずだ。隣には古代朝鮮からの渡来人が作ったと伝えられる、約2700平方メートルの神池。眺めながら歩くと自然と気持ちが落ち着く。
総社宮は平安末期、備中国の国司が国中の神社(324社)巡拝の煩わしさを避けるために、国府近くに神々を合祀(ごうし)して建てた。その名が次第に地名としても使われるようになったという。
本殿は30年前に焼失、その2年後に再建された。今も江戸時代の地元有力者が奉納した24点の絵馬が残っている。その中には円山応挙作の「義家観雁の図」(写真2)も。神職らに申し出ると、中に入って見せてもらえる。
総社宮から北西へ車で約10分。臨済宗東福寺派の中本山・井山宝福寺へ。山門正面の仏殿の天井には、望月派の鼇山(ごうざん)和尚(約250年前)が描いた盤龍図がある。夜に龍が仏殿前の白蓮池に水を飲みに出て、里人に恐れられたとの伝説があり、「水呑みの龍」と呼ばれている。だが目にクギを打って封じてあるのでご安心を。
仏殿の隣にあるのは、方丈(写真3)。墨画で有名な雪舟が、小僧時代に柱に縛られ、流した涙でネズミを描いたと伝えられる建物だ。残念ながら、1575年の戦乱で当時の方丈は焼失。現在の建物は、その後2度にわたって復興されたものだ。
備中国分寺は総社宮から南東へ車で10分。山門をくぐると右に本堂、左に吉備路のシンボルともいえる国の重要文化財の五重塔(写真4)がある。木造本瓦ぶきで、高さ34・3メートル。1800年代の建築だという。一層目の外部には十二支の彫刻が見える。吉備路ボランティアガイドの大坪恵子さん(49)によると「自分の干支(えと)に祈ると、1つだけ願い事をかなえてくれます」。内部には大日如来の中央心柱を中心に、阿弥陀(あみだ)如来などの五智如来が安置されている。画家の平山郁夫さんは山門脇からこの塔を眺めて作品を描いたという。確かに、画才はなくても、絵にしたくなるような美しい風景だった。
■吉備路観光案内センター(0866・92・1211)
■総社宮(0866・93・4302)
■国分寺観光案内所(0866・94・3155)