姫路から車で約2時間。花崗岩(かこうがん)の石積み外観が美しい丹波市氷上町の市立植野記念美術館(写真1)を訪ねた。同町石生の水分(みわか)れ資料館へも足を延ばした。
同美術館は加古川沿いにギリシャのパルテノン神殿を思わせるようにたたずむ。古代ギリシャ神殿のイオニア式を基に、一部ルネサンス様式を取り入れた建物で、正面の高さ9.5メートルの石柱6本(直径70センチ、重さ12トン)が目を引く。同館職員の須原貞彦さん(38)によると「石柱は中国製ですべて一本もの。建設当時、大阪湾から夜間交通規制をして運ばれたそうです」。エントランスは太陽光がふりそそぐ4階までの吹き抜けで、優雅なヨーロッパのアパートメントを想像させる。「音楽コンサートを開いたこともあるんです」
同館の完成は1994年11月。造ったのは同町出身の実業家・植野藤次郎さん。中国の景徳鎮磁器やパプアニューギニア民俗芸術品などのコレクションも含め氷上町(当時)に寄付した。
現在開かれているのは「田能村直入展〜直入と丹波地方の門人たち」。江戸末期から明治にかけて活躍した南画家・田能村直入と、直入に師事した丹波出身の安田鴨波らの作品約75点を展示している(7月29日まで/写真2)。篠山市から訪れた小島進・礼子さん夫妻は「ふらっと立ち寄れる。付近にあまり美術館がないので、いい場所を見つけた」と話していた。
美術館から車で約10分。氷上町石生に着いた。この地域は、日本一低い中央分水界(降った雨の流れを太平洋側と日本海側を分ける線)に位置することで知られる。標高約1510メートルの氷ノ山山頂も分水界のひとつだが、石生地区の最も低い宿畑付近は標高約95メートル。もし海面が100メートル上昇すれば、日本海と瀬戸内海がつながり、石生を中心に本州を二つに分断する海峡が出現する。市立の水分れ資料館では、その様子を地形模型とDVD映像などで紹介している(写真3)。自然の仕組みの不思議さを改めて実感した。
■丹波市立植野記念美術館(0795・82・5945)
一般300円、大・高生200円、中・小生100円。月曜休館。
水分れ資料館(0795・82・5911) 大人200円、小人50円。月曜休館。