「庭先に一輪咲いているだけでも華やかなバラ。それが800種3500株も咲き誇る姫路市豊富町の「姫路ばら園」(写真1)。すっかり初夏の名所として定着した。
約2200平方メートルとあまり広大ではないが、その分、1株ずつ間近に丹念に見ることができる。「ピエール・ド・ロンサール」(写真2)、「かがりび」(写真3)…色とりどりの個性的な花があでやかさを競う中で、心ひかれたのは「カトリーヌドヌーブ」(写真4)。あまりの美しさにしばし見ほれた。名前も、よく特徴をとらえていて、花の魅力を一層引き立てている。園長の上野昭子さんは「今日と明日、朝と夕方では花の表情が変わるんですよ」と話してくれた。
「今日は何もしないでいよう そう思った日ほど 花が私に近づく」
いくつかのバラには詩画作家・星野富弘さんの言葉が添えられている。清らかな心で眺めようという気持ちにさせられる。
バラに人気があるのは花の色、形だけではなく、その甘い香り。姫路市の有馬雅子さん(55)と母の真佐子さん(83)も体いっぱい香りに包まれて心地よさそうだった。
花を見終えたらカフェがお薦め。メニューに、バラの花びらが混じったジャムを入れて飲むハーブティーなど(写真5)があった。「見た目が売りなので」とはいうが、案外おいしい。しばし贅沢(ぜいたく)な気分に浸れる。
「姫路ばら園」は約30年前に開園した。上野さんと亡くなった夫がススキとハギだらけだった土地に手をいれて300株のバラを植えた。交通事故で亡くなった息子の供養と「二度とこんなことが起こらないように」との願いを込めて。
園の一角にこんな石碑がある。
「花の向ふに亡き子の面影を追ふ 公嗣」
夫婦が、子どものように大切に育てたバラが今年も見事な花をつけた。
姫路ばら園(079・264・4044)。
入園料は、大人500円、小学生300円。秋にも開園する。