岡山後楽園(写真1)は、兼六園(金沢市)、偕楽園(水戸市)と並ぶ日本三名園の一つ。JR岡山駅から東へ約2キロ。県庁にも近い岡山市中心部にある13.3ヘクタールの広大な回遊式庭園。国の「特別名勝」に指定されており、年間70万人が訪れる。 後楽園は江戸時代の17世紀末、岡山藩主・池田綱政が造った。藩主の静養の場、客をもてなす場として使われていた。明治になって県へ譲渡。水害や戦火で被害を受けるたびに修復・復元され現在に至っている。
園内には、藩主が居間として使った「延養亭」(写真2)や、綱政が最も好んだ「廉池軒」などの建物のほか、茶畑や田、梅林などもある。中でも「流店(りゅうてん)」(写真3)が目をひいた。木造2階建てだが、1階は板張りの休憩所。その間を水路が通っている珍しい建物だ。水路には6つの石が置かれている。昔は今のように石は固定されておらず、石の配置を変えたり、水をかけて色の変化を見たりして楽しんだという。2階は座敷。藩主が庭の散策をする際に立ち寄った休憩所だった。2階は公開はされていない。
面白いと感じたのは、日本庭園にはそぐわないソテツがあること。庭のどこかに異国情緒をかもし出すアイテムを配置することが当時のステータスだったらしい。そばの旭川から水を引いた640メートルの曲水(小川)もアクセントになっている。
美しい庭園は、結婚式の前撮りの背景として人気があり、着物姿の男女を5、6組見かけた。その中に福山市の松野英世さん(27)と細田佳奈子さん(27)もいた(写真4)。2人にとって後楽園は出会い、初デート、そしてプロポーズ、と思い出の詰まった特別な場所。「季節ごとの花や植物を楽しめます。茶店のあんこ入りきびだんごもお薦めですよ」。
江戸時代、後楽園は日を決めて一般の人の立ち入りも許していたという。「当時ではあまり例のないことで、昔から後楽園は市民に親しまれているんです」と専任ボランティアガイドの金岡利恵さん(57)は誇らしげだった。
■岡山後楽園(086・272・1148)。入園料は大人(15歳以上65歳未満)350円、子ども(5歳以上)140円▽ガイド 後楽園専任ボランティアは希望日の10日前までに予約が必要。申し込みは同園。岡山市観光ボランティアによる案内は午前10時、11時半、午後1時、2時半から。申し込み不要。毎月第3木曜休み。いずれも無料。