更新日:2007年4月4日
Vol.196:白鶴美術館(神戸市)
写真1 写真2 写真3 地図

私設美術館のさきがけ

 清酒「白鶴」で知られる白鶴美術館は神戸市東灘区の閑静な住宅街にある。国宝(2件、75点)、重文(22件、39点)やオリエント絨毯(じゅうたん)を含む約1400点の所蔵品とともに、多くの高級木材を使った宮殿を思わせる本館(写真1)も一見の価値がある。
 1934年に開館した同美術館の本館には、冷暖房の設備がないため、春と秋しか開館しない。この春は6月10日まで「古美術鑑賞入門U−日本・中国美術の〈わざ〉と〈こころ〉」を開いている。昨年春の「古美術鑑賞入門T」に続く企画。1階に中国の後漢−清の時代の陶磁器(写真2は重文の「白地黒掻落龍文梅瓶」=北宋時代)21点、2階に鎌倉−明治の絵画や元・明の時代の漆器など三十数点を展示している。ほとんどの作品が独立したケースに収納され、前後左右どこからでも見ることができる(写真3)。「作品をじっくり味わい、作者が作品にこめた〈こころ〉を感じとって欲しい」と学芸課長の山中理さん。

 本館と道をはさんで向かいあっている新館は、絨毯だけを展示した日本で初めてのカーペットミュージアムとして95年に開館した。
 こちらも春秋だけの開館で、会期も本館と同じ。春季展は「トルコ絨毯の魅力−大胆なデザイン」。ペルシャとコーカサス(黒海とカスピ海に挟まれた地方)の絨毯を約40点展示している。花や鳥が緻(ち)密に描かれた絨毯(写真4/19世紀後期、ペルシャ)が目を引いた。イスラムの楽園を表現しているという。幾何学模様で大胆なデザインはコーカサスの特徴。あまり使われず、美しい状態のものもあるが、生活用具として使われ、一部がすり減ったものも並んでいる。
 茶人で、美術愛好家だった白鶴酒造の7代目嘉納治兵衛が収集した美術品を広く社会に公開したいと、昭和初期に創設された「私設美術館のさきがけ」的な存在。
 同美術館の来館者は、震災後では3年前の開館70周年が最も多く、春秋合わせて1万人。神戸市内から3人の子どもと訪れていた中谷百合子さん(37)は「小さいころから母親といっしょに何度も来た。思い出の多い大好きな美術館」と話していた。

■白鶴美術館(078・851・6001)
。大人800円、大学・高校生500円、中・小学生250円。月曜休館(4月30日は開館。5月1日休館)。

 

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に掲載されたものの転載です。

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