温泉の恋しい季節。たっぷりの湯につかって身も心もリフレッシュしようと、岡山県・美作三湯のひとつ湯郷温泉を訪れた。
取材日の2月上旬、天気予報は雪マーク。車の運転に自信がないので、電車とバスを乗り継ぎ約3時間。予想に反して雪はなかった。
鷺(さぎ)湯橋バス停で下車。平安時代、サギが傷を負った足を癒やす様子を見て、この地に温泉を発見したという円仁法師の石像(写真1)が出迎えてくれた。
石像から北へ進むと長興寺薬師堂。境内には2基目の円仁法師石像、温泉の守護神を祀(まつ)る湯神社がある。ここは塩垂山(標高222メートル)のふもと。長時間のバス乗車でなまった足を動かそうと、薬師堂の左から始まる「湯遊ウォーク・ラガーコース」を歩いた。頂上までの往復で約40分。道中、近くで写真店を営む尾関史郎さんが、四季折々の湯郷の自然を撮った写真を木々に掛けた「森の中の写真展」が楽しめる。夢中になって転ばないよう注意が必要。
一汗かいたあと、街の中心にある「湯郷温泉元湯・湯郷鷺温泉館」(写真2)へ。日帰り客、旅館やホテルの宿泊客らが利用する共同浴場で、1999年に新装オープンした。玄関に入ると、温泉独特の空気。2階建ての館内は「家族湯」、釜風呂などがある「動の湯」、洞窟(どうくつ)露天風呂などがある「静の湯」に分かれ、全部で17の風呂がある。「動」と「静」は、毎週日曜日に男女が入れ替わる。取材した日の女湯は「動」。露天風呂やジャグジーですっかりリラックス、体の芯まで温まった。湧出(ゆうしゅつ)温度40.2℃。泉質はナトリウム、カルシウム塩化物泉。ほぼ無臭で無色透明。皮膚病や婦人病などにいいそうだ。
湯郷鷺温泉館の前身は作州湯郷鷺温泉。明治時代半ば、家庭風呂のなかった湯郷の民家110軒が、20円ずつ出しあってつくった株式会社だ。現在の建物で7代目。
鷺温泉館の近くに源泉地である塩湯社(写真3)がある。各温泉宿への湯の供給は、月に1万4000トン前後だという。
入浴後は小腹がすく。安広伸吾・裕嘉さん夫妻が営む天然酵母パンの店「あいゆうわいえ」を訪れた。偶然にも姫路の自然食品店にも商品を卸しているという。「なにかのご縁」と思いつつ、帰りのバスでおいしいパンをいただいた。
■湯郷鷺温泉館(0868・72・0279) 大人600円、小人400円。毎月第2水曜日休館(祝日の場合は翌日、8月のみ第1水曜日が休館)
■あいゆうわいえ(0868・72・0772)。木曜と第1、3水曜定休。
湯郷温泉には旅館、ホテルなど約20軒の宿泊施設があり、約3000人が利用することが出来る。