更新日:2007年1月25日
Vol.187:上方浮世絵館と法善寺界隈(大阪市)
写真1 写真2 写真3 地図

浮世絵も人情も大阪風

 大阪のミナミを歩いた。2001年に開館した「上方浮世絵館」(写真1)で「大阪の浮世絵」を見るのが目的。近くの法善寺横丁や、道頓堀にも足を延ばした。
 「上方浮世絵館」(中央区難波1丁目)は、喫茶店などを営んでいた館長・高野征子さんが「地域への恩返しに」と自らの所蔵物で開いた。
 上方浮世絵は、江戸後期−明治初期に大阪で作られた。もともと道頓堀周辺には本を作る版元が多く、木版技術を生かして浮世絵も発達した。周辺に芝居小屋が多かったため、題材の9割が歌舞伎役者。今で言うファン向けのブロマイドだった。江戸の浮世絵と異なり衣装は派手。楽屋裏の様子や、ぽっちゃりした役者をそのまま描くなど実に写実的だ。
 開催中の「企画展示 上方浮世絵最後の絵師芳瀧」は2月25日まで。歌川芳瀧(1841−99)の作品を中心に、江戸から明治の浮世絵の移り変わりが楽しめる。
 「水掛不動」で知られる浄土宗・法善寺では多くの人たちが参拝中。願いを込めて「西向不動明王」に水を掛けていた。「病院通いの途中」という75歳の男性は5年間続けているそうだ。

 法善寺は江戸期の1637年の開山。1945年3月の空襲で伽藍(がらん)を焼失。水掛不動と金毘羅堂のみが残った。
 水掛不動の隣にあるのが、織田作之助の小説で有名な甘味どころ「夫婦善哉(ぜんざい)」(写真2。左は水掛不動)。1883年、当地の文楽太夫・竹本琴太夫が始めたという。「量が多く見える」と善哉は2杯で1人前(写真3)。「夫婦」の由来だ。滑らかな白玉に、8時間釜炊きした丹波産大納言小豆の甘みが絶妙。

 店員さんと話がはずんでいたのでなじみの客かと思ったら、みな一見さんだった。「人情の町やからね」と店長・上村より子さんの言葉に納得。経営者は代わったそうだが、善哉の味と人の温かみは昔のままのようだ。
 道頓堀では、ネオ・ルネサンス様式の建築がひときわ目を引いた。1923年、日本初の洋式劇場として誕生した大阪松竹座だ。正面のアーチが美しい。戦前戦後は映画館として、10年前からは演劇場として歌舞伎や現代劇などが上演されている。

上方浮世絵館(06・6211・0303) 午前11時−午後6時、月曜休館(祝日、振り替え休日の場合は翌日が休館)。一般500円、小・中学生300円。 

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に掲載されたものの転載です。

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