
姫路から車で約1時間半。加東市のほぼ中心・三草山のふもとにある真言宗・朝光寺を訪ねた。国宝の本堂のほか「ミニ西国三十三所」もある古寺として知られている。
県道西脇三田線(17号線)の「朝光寺口」から北東へ道なりに。のどかな山あいの田園地帯を抜けると、美しい木々に囲まれた寺に着く。
車を降りると、せせらぎの音が聞こえる。流れに沿って少し歩くと「つくばねの滝」。周辺にツクバネ(ビャクダン科)が自生することから名付けられた。ここのツクバネは市指定の天然記念物だが、折られて傷んだ木が多い。
境内には33体の石仏があり、それぞれに西国三十三所の寺の名が刻まれている。滝の上部にある石仏が第1番・那智山で、一巡すれば「西国三十三所巡礼」になる。無精者にはありがたい仕組みだ。
石仏をたどって仁王門へ。2体の仁王像は色あせているが、眼光が鋭く気持ちが引き締まる(写真1)。門をくぐると、目前に国宝の本堂(写真2)。室町初期の和・唐の技術が融合した折衷様式。桁(けた)行7間、梁(はり)間7間の内部は、寺院独特の凜(りん)とした空気に包まれていた。江戸時代に追加された正面の参拝のための向拝に記帳場がある。各地から訪れた参拝者の感想を興味深く読んだ。
本堂の右奥には鐘楼(写真3中央)がある。鐘がむき出しの鐘楼はよく見かけるが、ここの鐘楼は寄せ棟造・袴(はかま)腰付の2層。鎌倉後期に造られた国の重要文化財。大みそかには多くの人が除夜の鐘を聞きに来るという。桃山時代の建築の護法社・鎮守社が隣接している。
鐘楼、護法社・鎮守社に相対するのは、多宝塔(写真B右奥)。関ケ原合戦後、姫路城主になった池田輝政が同寺を参拝。傷んでいた塔を再建した(1601年)という。
同寺の開基は651年。元々三草山の峰の一つ・権現山にあったが、1184年2月、源義経が平資盛・有盛兄弟を討ったという三草山合戦で焼けた。1189年、後鳥羽天皇の勅命で現在の場所へ移ったそうだ。教科書に登場する歴史上の人物が、寺の古さを物語っている。
寺では、毎年5月5日に県指定重要無形文化財の鬼追踊が奉納される。また、60年に一度、本尊の十一面千手観音菩薩(ぼさつ)が開帳される。次回の開帳は2060年という。
■朝光寺
加東市畑609。
問い合わせ:0795・44・0735