更新日:2006年10月23日
Vol.176:「応挙寺」の襖絵に感動(香住市)
写真1 写真2 写真3 写真3 地図

香住で楽しむ「芸術の秋」

 日本海に近い香美町香住区の「高野山真言宗 亀居山 大乗寺」は「応挙寺」の名で知られる。教科書にも登場する江戸中期の画家円山応挙が息子2人と門人10人を率い、8年の歳月をかけて描いた165面の障壁画が残っているからだ。絵はすべて国の重要文化財。芸術の秋の一日を見事な襖絵(ふすまえ)の鑑賞にあてた。

 絵は寺の客殿にある。十一面観音菩薩(ぼさつ)像を安置した仏間を取り囲む1階の10部屋、2階の2部屋に、それぞれテーマをもって描かれている。
 1階の「孔雀(くじゃく)の間」(写真1)。16面からなる襖絵は、応挙最晩年の作。3羽の孔雀と見事な枝ぶりの大木がバランスよく配置されている。12部屋の中では最大のスペース。夕暮れなど、辺りが暗くなると金箔(きんぱく)は輝きを落とし、墨絵だけが浮かび上がって見え、美術館などでは経験できない雰囲気を味わうことができる。
 隣は「芭蕉(ばしょう)の間」(写真2)。赤や青の着物姿で遊ぶ子どもら、白装束で彼らを見守る唐の政治家・郭子儀が描かれている。しぶい色づかいの孔雀の間とは対照的な空間だ。
 配置される空間を考えて描かれた作品に、狙い通りの姿で出合えたのは感動的だった。1階には他に仙人の間、鯉(こい)の間などが、2階には猿の間、鴨(かも)の間がある。
 天平17年(745年)に行基菩薩によって開山された大乗寺は、天明6年(1786年)から都合8年かけて客殿を再建した。かつて苦学していた応挙に同寺の密蔵上人が学資を援助したことがあり、襖絵はその恩返しだといわれている。寺の玄関に応挙の彫像(写真3)がある。

 大乗寺から少し北へ歩くと、看板を掲げた土蔵が見えてくる。展示された絵手紙などの見学や創作体験が出来る「ホッと蔵」(写真4)だ。香住区で小学校の校長だった藤原薫さんが、発酵食品会社トキワを営む柴崎一秀さん宅の蔵を借りて開館。観光客向けの絵手紙だけでなく、地元民宿のおかみさんたちは、客をもてなすメニュー表も作っている。入館料200円。
最後は「日本の夕陽百選」に選ばれた今子浦海岸。天気が悪くて夕日は見られず、次回の楽しみに。

■大乗寺(0796・36・0602)
大人800円、子ども500円。
午前9時−午後4時(受付は午後3時40分まで)。

■ホッと蔵(0796・36・3788)午前10時−午後3時。不定休。

※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に掲載されたものの転載です。

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