UPDATE 2006年5月2日

Vol.154:隨陽寺(宍粟市)


しだれ桜と流転の茶室

(1)

 宍粟市山崎町に、しだれ桜と茶室が素晴らしい隨陽寺という寺があると聞き、訪れた。
 隨陽寺(写真1)は浄土真宗大谷派の寺。本堂の前に一本のしだれ桜(写真2)が植わっている。池田恵瑞住職が、自ら剪定(せんてい)しながら大事に育てた桜は、毎年4月中旬ごろには満開になり、人々を魅了している。訪れた日は、まだつぼみが堅かったが、そろそろ見ごろを迎える頃だろう。

(2)

(4)

 境内の奥にある茶室(写真3)は、もとは、奈良の興福寺にあり「一畳台目の侘(わび)、寂びを追求した究極の茶室」と言われていたという。その後、さまざまな経緯で明石市の月照寺に移築されたものの、95年の阪神・淡路大震災により半壊。本堂などの再建が優先されたため、茶室はやむなく撤去されることになった。そこで、池田住職が同寺に移築したいと申し出たところ、快諾され、現在に至る。池田住職は、移築当時の月照寺の間瀬碩禅住職の遺偈(ゆいげ=禅僧が門弟や後世のために残す詩)から「如是庵(にょぜあん)」と名付けた。築100年以上たった今も茶室として使用されている。「竹を貫いて交差したれんじ窓など、昔の大工がこんな高度な技を持っていたとは。人間技とは思えない」と池田住職は話す。茶室内は、柱などからもその年月の重みがにじみ、ピンと張りつめたような空気が漂う。が、しばらくすると不思議と心が静まるのを感じた。

(3)

 隨陽寺を出た後、池田住職もよく通う地元で評判のうどん屋「GRILL柊」に立ち寄った。めんにはほどよいこしがあり、天ぷらもさくさくしておいしい。店内から見渡せる石や水を用いて造られた庭(写真4)が見たくて訪れる人も多いようだ。一見普通のうどん屋だが、全店員が、同じ敷地内にある学習塾の先生だというから驚きだ。塾を経営する阪口隆裕さんは、「先生たちに、頂く月謝のありがたみを知って欲しい」と研修を兼ねて営業している。一生懸命働く先生たちの姿に好感を持った。

■隨陽寺 TEL:0790・62・6429。
茶室の利用は、3、4人のグループで要予約。

■GRILL柊 TEL:0790・63・0371。水曜定休。
午前11時−午後2時営業。。


※この記事は、朝日新聞読者にお届けしている「あいあいAI 」(播州)に掲載されたものの転載です。

ぶらりひとある記[バックナンバー]はこちら


Portions Copyright (C) 2006 The Asahi Family News.